Nose-Hoover法によるNVT分子動力学

キーワード「MD.Type」を「NVT_NH」と指定することで、能勢-Hoover法 [20]による NVTアンサンブル分子動力学シミュレーションが実行可能です。
    MD.Type         NVT_NH     # NOMD|Opt|NVE|NVT_VS|NVT_NH
このNVT分子動力学では原子運動の温度は、以下の書式で制御することができます。
   <MD.TempControl
     4
     1    1000.0
     100  1000.0
     400   700.0
     700   600.0
   MD.TempControl>
この書式の最初の行は「$<$MD.TempControl」であり、最後の行は「MD.TempControl$>$」とする必要があります。 最初の「4」は温度制御のために必要な行の数です。この場合には、引き続く4行で温度の指定を行っており、最初の列の数字はMDのステップ数を表し、 2列目は原子運動の設定温度を表します。MDステップの間の温度は線形補間により与えられます。 この場合でも、速度スケーリングMDで用いた同じキーワード「MD.TempControl」が使用されていますが、書式が異なることに注意して下さい。 「MD.TempControl」の指定の他に、次のキーワードを用いて、熱浴の質量を指定して下さい。
    NH.Mass.HeatBath          30.0      # default = 20.0
この設定では、炭素原子の主同位体の質量を12.0とする統一原子質量単位を用いています。 「速度スケーリングによるNVT分子動力学」で説明したように、MDステップの各段階において計算された数値は、出力ファイル名「System.Name.ene」に保存されます。 例として、Nose-Hoover法によるグリシン分子の計算結果を図 12 (b)に示します。原子運動の温度が設定温度の周辺で振動していることがわかります。 また、分子動力学の様子を可視化するには、NVT_VSの場合と同様に、 フリーソフトxmakemol [104]やXCrySDen [66]等を用いて、出力ファイル「System.Name.md」を 簡単にアニメーション化することが可能です。



2017-03-07