next up previous contents
Next: 分数核電荷を持つ仮想原子 Up: ADPACK Ver. 2.2 ユーザーマニュアル Previous: スピン軌道相互作用の大きさの制御   Contents

擬原子軌道の作成

プログラムパッケージ OpenMXでは、プリミティブ基底関数としてADPACKで生成された擬原子軌道を使用します。 擬原子軌道は次の方法により作成されます。 まず閉じ込めポテンシャル下で全電子計算を実行し、次に閉じ込めポテンシャル下での擬ポテンシャルを作成します。 最後に閉じ込め擬ポテンシャルに対する固有状態を基底状態から必要な励起状態まで数値的に計算します。 これが擬原子軌道と呼ばれるものになります。閉じ込めポテンシャル下での固有状態であることから、 閉じ込めポテンシャルのカットオフ半径内でのみ有限であり、その外側では厳密にゼロとなります。

炭素原子を例として、擬原子軌道の作成方法に関して以下に説明します。 ファイル「C.inp」中でキーワード「calc.type」を「PAO」に指定して下さい。 そして次のように、adpackを実行して下さい。

     % adpack C.inp
   
計算が正常に終了すると、「work」ディレクトリにファイル「C0.pao」が作成されます。 ファイル「C0.pao」には、価電子密度と擬原子軌道の動径関数が出力されます。 ユーザーの備忘録として、このファイルには入力ファイルの内容と全電子SCF計算結果も保存されています。 価電子密度はlog(r)、r、価電子密度の順で保存され、また擬原子軌道の動径関数はlog(r)、r、動径部分 1、 動径部分 2、…の順で保存されています。図4にs軌道に対する閉じ込めポテンシャルと擬原子軌道を示します。 閉じ込めポテンシャルのために擬原子軌道は局在しており、 また固有値の増大とともにノードの数が増えていくことが分かります。 閉じ込めポテンシャルは、次のように内殻ポテンシャルを変形することで与えられます。
\begin{displaymath}
V_{\rm core}(r) =
\left\{
\begin{array}{cl}
-\frac{Z}{r...
... h & \quad \mbox{for $r_{\rm c}<r$},\\
\end{array} \right.
\end{displaymath}

ここで$b_0$$b_1$$b_2$$b_3$は、$r_1$$r_{\rm c}$の両方で、値と微分が連続的になるように決定されます。
$r_{\rm c}$=radial.cutoff.pao、 $r_{\rm 1}$=$r_{\rm c} - $rising.edge、$h$ = height.of.wallの関係に注意すると、 閉じ込め壁に対する波動関数の染み出しは「height.of.wall」の増加に伴い、小さくなることが分かります。 また、この壁の周囲の立ち上がり端の形状は「rising.edge」を調整することで制御可能です。 「height.of.wall」に対して非常に大きな値を使用した場合には、数値不安定性のために、計算が正常に 終了しない可能性もあります。この場合、キーワード「rising.edge」と「num.grid」に大きな値を設定することで、 この数値不安定性を低減することが可能です。 キーワード「rising.edge」に関しては、「入力ファイル」の章を参照して下さい。 ここで生成されるファイル「*.pao」は、プログラムパッケージ OpenMXの入力データとして使用可能です。

Figure 5: 炭素原子の閉じ込めポテンシャルと擬原子 s-軌道の動径関数
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=fig5.eps,width=10cm}
\end{center}
\end{figure}



t-ozaki 2014-01-09