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実空間における電流/スピン流密度

ステップ3で、実空間における電流/スピン流密度が計算可能です。 この計算に関連するキーワードは以下のとおりです。

NEGF.tran.CurrentDensity   on        #  default on

電流密度の計算の際には、 openmxの計算から以下の標準出力が得られます。

Start Calculation of the currentdensity

  Spin #0
    Sum of current in real space [a.u.] 
      Left(ideal) :    -9.10585e-06
      Right(ideal):    -9.10583e-06
      Left(truncated ):    -8.66971e-06
      Right(truncated):    -8.69926e-06
  Spin #1
    Sum of current in real space [a.u.] 
      Left(ideal) :    -4.54540e-08
      Right(ideal):    -4.54544e-08
      Left(truncated ):    -4.19469e-08
      Right(truncated):    -4.27460e-08

Output: Currentdensity
  Charge-current density along a-axis: ./negf-8zgnr-0.3.curden1.cube
  Spin-current density along a-axis: ./negf-8zgnr-0.3.scurden1.cube
  Charge-current density: ./negf-8zgnr-0.3.curden.xsf
  Spin-current density: ./negf-8zgnr-0.3.scurden.xsf
  Voronoi Charge-current density: ./negf-8zgnr-0.3.curden_atom.xsf
  Voronoi Spin-current density: ./negf-8zgnr-0.3.scurden_atom.xsf

この計算例の場合には、以下の6つのファイルが作成されます。
negf-8zgnr-0.3.curden.xsf, negf-8zgnr-0.3.scurden.xsf,
negf-8zgnr-0.3.curden1.cube, negf-8zgnr-0.3.scurden1.cube,
negf-8zgnr-0.3.curden_atom.xsf, negf-8zgnr-0.3.scurden_atom.xsf,
これらのファイルには、以下の物理量が記載されています。

OpenMX Ver. 3.9では、

    NEGF.OffDiagonalCurrent   on        #  default off
を設定することでノンコリニア磁性の計算も可能となっており、 以下のファイルが作成されます。 これらのファイルには電流密度の非対角スピン成分が記載されます。 これらは一般的に複素数となるため、実部と虚部に分けて出力されます。

例として、図 42 に0.3Vのバイアス電圧下で反強磁性接合を持つ グラフェンナノリボン(8-zigzag)の電流密度を示します。 境界の近傍では、基底関数が適切に扱われていないため非物理的な振る舞いをしています。 より正確な計算を実現するためには、より大きなスーパーセルモデルを用意する必要があります。


Figure 42: (a) 0.3Vのバイアス電圧下で反強磁性接合を持つグラフェンナノリボン(8-zigzag)の電流密度。 (b) (a)のa成分の等値面。
\includegraphics[width=14.0cm]{CurDensity.eps}