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DFT+$U$法の選択: 単純化または一般化

DFT+$U$法における占有数演算子、汎関数形、ダブルカウント項を選択するために次の二つのキーワードを指定します。

  scf.Hubbard.U                 on  # on|off, default=off
  scf.DFTU.Type                 2   # 1:Simplified(Dudarev)|2:General, default=1
これらのキーワードはコリニア計算とノンコリニア計算[21,22]の両方で共通です。 scf.DFTU.Type=1は Dudarevら[25]によるいわゆる「単純化回転不変形式」に相当し、 ここで $U$ (Hubbard $U$) のみが役割を担います [20]。 より一般的なDFT+$U$法では$U$ だけでなく、$J$ (Huntのカップリング $J$) も入力パラメタとなります。 DFT+$U$法を使用する際にはキーワード「scf.SpinPolarization」は常に「on」または「nc」と設定して下さい。

占有数演算子[20]は以下のキーワードで指定されます。

  scf.Hubbard.Occupation        dual  # onsite|full|dual, default=dual
三つの占有数演算子(onsite、full、dual)において、dual演算子のみが総和測 (占有数行列のトレースが電子の総数を与える)を満たします。 「onsite」、「full」、「dual」の演算子の詳細は参考文献 [20]を参照して下さい。

原子種をキーワード「Definition.of.Atomic.Species」で以下の様に定義した場合、

  <Definition.of.Atomic.Species
    Ni Ni6.0S-s2p2d2f1  Ni_CA13S
    O  O5.0-s2p2d1      O_CA13
  Definition.of.Atomic.Species>
各軌道の$U$$J$ の値(eV単位)はキーワード「Hubbard.U.values」により次の様に指定されます。
  <Hubbard.U.values   # eV
    Ni 1s 0.0 2s 0.0 1p 0.0 2p 0.0 1d 5.0 2d 0.0 1f 0.0
    O  1s 0.0 2s 0.0 1p 0.0 2p 0.0 1d 0.0
  Hubbard.U.values>

  <Hund.J.values      # eV
    Ni 1s 0.0 2s 0.0 1p 0.0 2p 0.0 1d 0.9 2d 0.0 1f 0.0
    O  1s 0.0 2s 0.0 1p 0.0 2p 0.0 1d 0.0
  Hund.J.values>

$U$ ($J$)の指定は<Hubbard.U.values (<Hund.J.values)から開始し、 記述の最後はHubbard.U.values> (Hund.J.values>)とします。 全ての基底関数に対して、上記の形式でeV単位で$U$$J$を与えて下さい。 「1s」や「2s」は第1$s$軌道と第2$s$軌道を意味します。 「1s」の後ろの数値が第1$s$軌道の$U$ (または $J$)の値です。 同一の規則が$p$軌道や$d$軌道に適用されます。 もしscf.DFTU.Type=1 ならば、$U$ の値のみが読まれ、その際には$J$ の値を指定する必要はありません。