概要

状態密度、バンド分散、分子軌道などの計算を行う場合には予め自己無撞着計算を行っておき、二回目以降の 計算では自己無撞着計算をスキップすれば、計算時間を節約することができます。 この計算の再スタートを行うためのキーワードが「scf.restart」として用意されています。
   scf.restart           on        # on|off,default=off
キーワード「scf.restart」を「on」にすると、最初の計算で作成された再スタート用の ファイルが読み込まれ、二番目の計算での初期のハミルトニアンおよび(スピン)電子密度として使用されます。 ここで二番目の計算の「System.Name」は一番目の計算と同一でなければなりません。 再スタートファイルは「work」ディレクトリの下の「System.Name_rst」ディレクトリ内に保存されています。 ここでSystem.Nameは「System.Name」を意味します。 「System.Name_rst」内の再スタートファイルは密度行列混合法およびフーリエ空間混合法の両方に関係する 全ての情報を含んでいます。従って、二番目の計算において別の混合法を使うこともできます。 再スタートの例として、図8にSCF計算の過程を示します。 この計算は「work」ディレクトリ内にある入力ファイル「C60.dat」を用いて行ったものです。 図 8 より、二番目の計算では再スタートファイルの使用によりSCF計算がすぐに終了していることが分かります。

図 8: C$_{60}$分子のSCF収束。二番目の計算では、最初の計算により生成された再スタートファイルを使用。 入力ファイルは「work」ディレクトリ内にある「C60.dat」。
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\epsfig{file=restart.eps,width=12cm}
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2017-03-07