アンフォールディングされたスペクトル重みの強度マップ

アンフォールディングされたスペクトル重みは強度マップとして可視化できます。 重み$w$は以下の様にLorentian関数によって滑らかにされます。

$\displaystyle L(k,E) = \frac{w}{(k/\Delta_k)^2+(E/\Delta_E)^2+1},$      

$k$はBohr$^{-1}$単位の${\bf k}$-ベクトルの値であり、$E$はeV単位のエネルギー、 $\Delta _k$及び$\Delta _E$は滑らかにする度合です。 強度マップの絶対値には物理的な意味がないことにご注意下さい。 強度マップの可視化は以下の3ステップで実施可能です。

(1) intensity_map.c のコンパイル

「source」ディレクトリにおいて、以下の様に「intensity_map.c」をコンパイルして下さい。

  gcc intensity_map.c -lm -o intensity_map
生成された実行形式ファイル「intensity_map」を作業ディレクトリにコピーして下さい。

(2) 強度マップの作成

アンフォールディング計算の終了後、強度マップを作成するために必要なメッシュデータが書き込まれたファイルを 生成することができます。 ここでは、前節にて議論したSi欠陥をもつ2次元蜂の巣構造のSiC ($2\times 2$)スーパーセルを例に説明します。 アンフォールディング計算の入力ファイルは「SiC_C_SP_V.dat」であり、メッシュデータファイル 「sic-intmap.txt」を以下の様に生成します。
  ./intensity_map sic_c_sp_v.unfold_totup -c 3 -k 0.1 -e 0.1 -l -10 -u 6 > sic-intmap.txt
各引数の説明は以下となります。 System.Name.unfold_orbup(dn)」を解析する際には、「System.Name.out」の擬原子軌道の通し番号を参考に、 「-c」の列番号を設定して下さい。 また、「-c」で指定された$N_{\rm col}$は、「System.Name.out」の擬原子軌道の通し番号$N_{\rm seq}$に 関連していることに注意して下さい。 両者の関係は「 $N_{\rm col}=N_{\rm seq}+2$」です。

(3) 強度マップの描画

gnuplotを用いて強度マップを描画可能です。 入力ファイル「SiC_C_SP_V.dat」を用いた計算では、以下の様に描画して下さい。

  gnuplot> set yrange [-10.000000:6.000000]
  gnuplot> set ylabel 'Energy (eV)'
  gnuplot> set xtics('K' 0.000000,'G' 0.722259,'M' 1.347753,'K' 1.708883)
  gnuplot> set xrange [0:1.708883]
  gnuplot> set arrow nohead from 0,0 to 1.708883,0
  gnuplot> set arrow nohead from 0.722259,-10.000000 to 0.722259,6.000000
  gnuplot> set arrow nohead from 1.347753,-10.000000 to 1.347753,6.000000
  gnuplot> set pm3d map
  gnuplot> sp 'sic-intmap.txt'
これらのコマンドにより、図 52(a)を得ることができます。

図 52: (a) Si欠陥をもつ2次元蜂の巣構造のSiC ($2\times 2$)スーパーセルにおけるアップスピン状態の アンフォールディングされた全スペクトル重みの強度マップ。 「SiC_C_SP_V.dat」において「Unfolding.desired_totalnkpt」を300に設定し、 $\Delta _k$ = 0.1 (Bohr$^{-1}$)、$\Delta _E$ = 0.1 (eV)とした。 (b) 構造ディスオーダを持つBCC鉄のアンフォールディングされた全スペクトル重みの強度マップ。 「BCC_Fe_N_SO_Disorder.dat」において「Unfolding.desired_totalnkpt」を300に設定し、 $\Delta _k$ = 0.1 (Bohr$^{-1}$)、$\Delta _E$ = 0.1 (eV)とした。
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=Unfolding_Intensity_Map.eps,width=16.0cm}
\end{center}
\end{figure}



2017-03-07