スピン磁気モーメントに対するZeeman項

次のキーワードによって、スピン磁気モーメントに対するZeeman項が一様磁場との相互作用として導入できます。

      scf.NC.Zeeman.Spin           on        # on|off, default=off
      scf.NC.Mag.Field.Spin       100.0      # default=0.0(Tesla)

スピン磁気モーメントに対しZeeman項を導入する場合、キーワード「scf.NC.Zeeman.Spin」を「on」にします。 一様磁場の強度は、キーワード「scf.NC.Mag.Field.Spin」で、テスラ単位で指定できます。 この方法は制約条件付きDFT法として拡張することが可能で、各原子毎に磁場の方向を指定することができます。 スピン磁気モーメントに対する磁場の方位は、キーワード「Atoms.SpeciesAndCoordinates」によって 次のように指定されます。

  <Atoms.SpeciesAndCoordinates           
   1  Sc  0.000  0.000  0.000   6.6 4.4  10.0 50.0  160.0 20.0  1  on
   2  Sc  2.000  0.000  0.000   6.6 4.4  80.0 50.0  160.0 20.0  1  on
  Atoms.SpeciesAndCoordinates>

スピン磁気モーメントに対する磁場の方位を指定するために、第8列と9列でEuler角 ($\theta$、$\phi$)を指定します。 第12列は制約条件に対するスイッチです。「1」は制約条件有り、「0」は無しを意味しています。 各原子サイトに対して印加磁場の方位を制御できるため、この方法はノンコリニアスピン構造を研究する手段を提供します。 キーワード「scf.NC.Zeeman.Spin」と「scf.Constraint.NC.Spin」は 互いに両立できないことに注意してください。 したがって、「scf.NC.Zeeman.Spin」がオンの場合、 キーワード「scf.Constraint.NC.Spin」は次のようにオフにしなければなりません。

      scf.Constraint.NC.Spin       off       # on|off, default=off

この章で説明したスピン磁気モーメントの方位に対するZeeman項と、前章で説明した制約法は、どちらもスピン方位を制御する方法ですが、 Zeeman項を付加した場合には、スピン磁気モーメントの大きさが増加する可能性があることに注意して下さい。