MLWFの計算で生成される4つのファイルを以下に説明します。
拡張子「.mmn」のファイルには重なり行列要素
が保存されています。
拡張子「.amn」のファイルには初期推定のための射影行列要素
が保存されています。
拡張子「.eigen」のファイルには各k点における固有エネルギーと固有状態が保存されています。
拡張子「.HWR」のファイルにはサンプリングしたkグリッドと共役なWigner-Seitzスーパーセル内にある、
一組の格子ベクトル上でのMLWF間のホッピング積分が保存されています。
最適化計算を再スタートする際には、拡張子「.mmn」のファイルが読み込まれます。
4つのファイルのより詳しい情報を以下に説明します。
A. ファイル「.mmn」の形式
このファイルの構造は、Wannier90 [87]のファイル構造に厳密に従っています。
このファイルの最初の行は、第2行の数値についての説明です。
第2行の数は、左から右に、それぞれ外エネルギー窓に含まれるバンド数 (
)、k点の数、bベクトルの数、スピン成分の数です。
次に続く各行は
のデータブロックで、ループ形式で書き出されています。
最も外側のループはスピン成分のループ、次は k点のループ、そしてbベクトルのループです。
また最も内側のループは、それぞれバンド・インデックスの
および
です。
各ブロックにおいて、最初の行は5つの数から構成されます。
最初の2つの数は、現在の k点インデックスおよび隣接するk+bのインデックスです。
次の3つの数は、単位セルk+b点の座標です。
ブロックの2行目からは、各行列要素の実部と虚部です。
各ブロックにおいては、
個の複素数があります。
例として、入力ファイル「Si.dat」を用いて生成された「.mmn」ファイルを以下に示します。
Mmn_zero(k,b). band_num, kpt_num, bvector num, spinsize
10 512 8 1
1 512 0 0 0
0.571090282808 -0.819911068319
0.000031357498 -0.000045367307
-0.000149292597 0.000215591228
-0.003821911756 0.005522040495
0.028616452988 0.019804944108
0.003677357735 0.002544970842
-0.006610037555 -0.004574771451
-0.000950861169 -0.000658076633
-0.000000008855 0.000000005272
........
.....
...
B.ファイル「.amn」の形式
このファイルの構造は、Wannier90 [87]のファイル構造に厳密に従っています。
ファイルの第1行はファイル全体の記述です。
第2行の4つの数は、それぞれ外エネルギー窓内のバンドの数(
)、k点の数、生成するMLWFの数、スピン成分の数です。
同様に、データブロックはループ形式で書き出されています。
最も外側のループはスピン成分で、その次がk点、生成するMLWF、バンドの数です。
このファイルの最初の行に示されているように、各ブロックにおいて、最初の3つの整数は、それぞれバンド・インデックス、MLWFインデックス、
およびk点インデックスです。その後に、行列要素の実部と虚部(Hartree)が出力されています。
例として、入力ファイル「Si.dat」を用いて生成された「.amn」ファイルを以下に示します。
Amn. Fist line BANDNUM, KPTNUM, WANNUM, spinsize. Next is m n k...
10 512 8 1
1 1 1 0.053943539299 0.000161703961
2 1 1 -0.000525446164 -0.000000008885
3 1 1 0.002498021589 0.000000084311
... ...
... ...
10 1 1 -0.000000023582 -0.000000000069
1 2 1 0.053943534952 0.000161703965
2 2 1 0.033382665372 0.000000493665
3 2 1 -0.051189536188 -0.000001480360
........
.....
C. ファイル「.eigen」の形式
このファイルは、各k点での固有エネルギーと固有状態を保存しています。
最初の行は、系のフェルミ準位です。
二行目にはバンドの数が示されています。
次のデータは、主に二つの部分から成ります。
最初の部分は固有エネルギーで、次の部分は固有状態に対応しています。
各部分において、最も外側のループはスピン成分です。
次のループはk点で、その後にバンド・インデックス(指数、添字)が続きます。
固有状態については、基底系に関して一つ以上の内部ループがあります。
例として、入力ファイル「Si.dat」により生成されたファイルを以下に示します。
Fermi level -0.112747
Number of bands 10
1 1 -0.566228100179
2 1 -0.122518136808
3 1 -0.122518129040
4 1 -0.122518115949
5 1 -0.026598417854
... ...
WF kpt 1 (0.00000000,0.00000000,0.00000000)
1 1 0.4790338281 -0.0014359768
1 2 0.0440709749 -0.0001321095
1 3 -0.0000003333 -0.0000000000
........
.....
D. ファイル「.HWR」の形式
このファイルには、中心(
)の単位セル内の
番目のMLWFである
と、
の単位セル内の
番目のMLWFである
の間のホッピング積分が保存されています。
次のルールに従い、行列要素
は、書き出されます。
最初の行は説明のみです。
2行目と3行目には、MLWFの数とWigner-Seitzのスーパーセル内の格子ベクトルの数がそれぞれ書かれています。
5、6、7行目には単位セルベクトルが書かれています。
8行目には、コリニア計算かノンコリニア計算、またスピン分極の取扱いに関して説明されています。
9行目はフェルミ準位 (Hartree)です。
10行目からデータブロックが始まり、ループ形式で書き出されています。
最も外側のループはスピン成分です。
次のループはRについて、最後の2つは
と
のループです。
各Rは各ブロックの第1行目に縮退数とともに記載されています。
各行においては、
と
のインデックスが表示され、その後にホッピング積分の実部と虚部(Hartree)が続きます。
例としてい、入力ファイル「Si.dat」により生成されたファイルを以下に示します。
Real-space Hamiltonian in Wannier Gauge on Wigner-Seitz supercell.
Number of Wannier Function 8
Number of Wigner-Seitz supercell 617
Lattice vector (in Bohr)
5.10000 0.00000 5.10000
0.00000 5.10000 5.10000
5.10000 5.10000 0.00000
collinear calculation spinsize 1
Fermi level -0.112747
R ( -6 2 2 ) 4
1 1 -0.000078903162 -0.000000003750
1 2 0.000024237763 -0.000000000148
1 3 0.000024237691 -0.000000000341
1 4 0.000024238375 0.000000004117
1 5 0.000072656918 -0.000000000196
1 6 -0.000022470544 -0.000000000859
1 7 -0.000022481557 0.000000000750
1 8 -0.000022492706 0.000000000148
2 1 0.000024238091 0.000000000049
2 2 -0.000078901874 -0.000000000011
2 3 0.000024234912 -0.000000000023
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