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電荷ドーピング

キーワード「scf.system.charge」により電子と正孔のドーピングが可能です。

    scf.system.charge     1.0     # default=0.0
正と負の符号はそれぞれ正孔と電子のドーピングに対応しています。 部分的な電荷のドーピングも可能です。 OpenMXではPoisson方程式の解法にFFTが用いられていますので、 キーワード「scf.system.charge」で与えられる過剰電荷は 逆電荷を持った一様な背景電荷によって中性化されます。 従って、異なる電荷状態間の全エネルギーを比較する場合には、 全エネルギーにはバックグランドの電荷によって誘起される付加的な静電的相互作用が含まれていることに注意が必要です。 電荷と孤立系を扱う正しい方法について 58章で議論されています。

例として、正孔ドープ、中性、電子ドープの場合のカーボンナノチューブ(14 Å の有限長)のスピン密度を図29 に示します。 中性および電子ドープのナノチューブの全スピンモーメントは1.0および2.2であり、一方、正孔をドープしたナノチューブでは 全スピンモーメントはほとんどゼロです。 中性および電子ドープのナノチューブではナノチューブ端のダングリングボンドによりスピン分極が発生しています。


Figure 29: (a) 4つの正孔をドープした場合、(b) 中性の場合、そして(c) 4つの電子をドープした場合の、 14 Å の有限長の(5,5)カーボンナノチューブのスピン密度。 インプットファイルは「work」ディレクトリ中の「Doped_NT.dat」。
\includegraphics[width=17.0cm]{nt140_sden.eps}