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k空間でのスピンテクスチャの解析

Rashba効果等で見られるバンド構造のスピン分裂はスピン軌道相互作用の考慮で生じることがあります。 スピン分裂は各固有状態・波数ベクトルkに分解され、 固有状態・kで分解されたスピン分裂は、逆空間でのバンド分散関係におけるスピン構造であり、 スピンテクスチャと呼ばれます。 スピン軌道相互作用を含めたノンコリニア計算に対して、ポストプロセスコード「kSpin」を用いて スピンテクスチャが解析できます。 固有状態・kで分解されたスピン密度行列は、以後はk空間スピン密度行列と呼ぶことにします。 このk空間スピン密度行列は二成分スピノルから計算され、$2\times 2$行列の形式をとります。 スピンテクスチャはこの$2\times 2$行列から計算されます。 ポストプロセスコード「kSpin」による解析では、スピンテクスチャに加えて、 Rashba効果などのスピン軌道相互作用により生じる現象の物理的な起源を解析できるように k空間スピン密度行列の情報も提供されます。 固有状態・kへの分解だけでなく、原子・擬原子軌道で分解されたスピンテクスチャの解析機能も「kSpin」を提供します。 この機能により、スピン分裂においてどの原子・軌道が中心的役割を担うか、理解することができます。 「kSpin」はラシュバ効果のみならずトポロジカル絶縁体や非ラシュバ型のスピン分裂にも応用できることにも注意して下さい。

以下に続く節では、計算例を示しながら、それらの解析に「kSpin」がどのように応用できるのか説明します。 「kSpin」はノンコリニア計算の場合のみに使用可能で、コリニア計算には対応していないことに留意してください。 ノンコリニア計算に関しては「ノンコリニアDFT」の章34 を参照してください。

本機能を用いて発表を行う際には、文献[78]を引用して頂けますと幸いです。 また、本機能の実装に関する技術ノートが http://www.openmx-square.org/tech_notes/note_kSpin-1_0.pdf にありますので、参照して下さい。



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