next up previous contents index
Next: 対角化のための数値的に厳密な低次スケーリング法 Up: OpenMX Ver. 3.9 ユーザーマニュアル Previous: MLWFの自動実行テスト   Contents   Index

Wannier90とのインターフェース

OpenMXの計算結果をWannier90 [145]を用いてさらに解析することが出来ます。 Wannier90 [145] を用いて最局在ワニエ関数が計算できます。その他にワニエ関数に射影したDOSやバンド構造、フェルミ面、 ベリー位相に関連する物性(異常ホール伝導度や光伝導率)などの物性が計算可能です。 OpenMXの計算結果をWannier90に読み込ませるためには、OpenMXの入力ファイル中に以下の2つのキーワードを設定します。

  Wannier.Func.Calc        on    # on|off, default=off 
  Wannier90.fileout        on    # on|off, default=off

このように設定した入力ファイルを用いてOpenMXを実行すると計算終了時に以下のメッセージが表示されます。

  The input files for Wannier90,

  System.Name.amn
  System.Name.mmn
  System.Name.eig
  System.Name.win

  are successfully generated.
計算終了後に、上記4つのファイルが生成されます。 3つのファイルはwannier90の実行形式ファイル「wannier90.x」にて読み込まれるものであり、 最後の「System.Name.win」は「wannier90.x」の計算を制御する入力ファイルです。 図48に計算の模式図を示しました。


Figure 48: OpenMXとWannier90を用いた模式的な計算フロー
\includegraphics[width=16.5cm]{OpenMX_Wannier90.eps}

重なり行列「System.Name.mmn」、射影行列「System.Name.amn」と固有値「System.Name.eig」を用いて、 「wannier90.x」では最局在ワニエ関数を計算します。 最局在ワニエ関数が得られると、さまざまな物理量の計算が可能となります。 「System.Name.win」には、デフォルトでは光伝導度を計算するが設定されています。
  berry_task   kubo
キーワード「berry_task」を適切に変更することで、その他の物理量の計算が可能です。 いくつかのオプション例を以下に示します。
  berry_task   kubo     #  optical conductivity 
  berry_task   ahc      #  anomalous Hall conductivity
Wannier90の詳しい解説は、Wannier90 [145] のウェブサイトをご参照下さい。

49及び図50には、例として、 ダイヤモンド構造をもつシリコンのゼーベック係数と、SrVO$_3$の光伝導度を示しました。 入力ファイル「Si-Wannier90.dat」及び「SrVO3-Wannier90.dat」は「work」ディレクトリに収められています。



Figure 49: OpenMXとWannier90を用いて得られた8個のワニエ軌道によるダイヤモンド構造のシリコンの(a) バンド構造と (b) T=300Kにおけるゼーベック係数(入力ファイル:「work」ディレクトリ内の「Si-Wannier90.dat」)。
\includegraphics[width=17.0cm]{OpenMX_Wannier90-Seebeck.eps}



Figure 50: OpenMXとWannier90により得られたSrVO$_3$の(a)バンド構造及び(b)光伝導度。 得られた光伝導度は過去の実験データ[147]と良く一致している。 用いた入力ファイルは「work」ディレクトリ内の「SrVO3-Wannier90.dat」である。
\includegraphics[width=17.0cm]{OpenMX_Wannier90-SrVO3.eps}