next up previous contents index
Next: ステップ 1:電極部分の計算 Up: 電気伝導計算 Previous: 電気伝導計算   Contents   Index

概要

非平衡グリーン関数法(non-equilibrium Green function method、 NEGF法)に基づき、 分子、ナノワイヤ、超格子構造などの電子に由来する電気伝導特性を計算することが可能です。 電気伝導計算の機能はコリニアとノンコリニア計算のどちらもサポートしています。 その特徴と機能を以下に列挙します。

各機能の実装の詳細については、文献 [73]を参照して下さい。 まずコニリア計算の場合について、各機能の使用法を説明します。 その後に、ノンコリニア計算に関して、補足説明します。

考察する系

OpenMX Ver. 3.9の実装では、図 39 (a)に示す系をNEGF法により取り扱います。 この系は左右の半無限電極部分とそれに接続する中心部からなり、またbc面上での二次元周期性が仮定されています。 二次元周期性を考慮すると、この系は図 39 (b)に示すBloch波数ベクトル${\bf k}$に依存する一次元問題に変換することができます。 中心領域$C_0$と左右の領域$L_0$および$R_0$との境界面近くの電子構造の緩和を考慮するために、OpenMX Ver. 3.9の実装では、 領域 $C (\equiv L_0\vert C_0\vert R_0)$のグリーン関数が自己無撞着に決定されます。 現実装においては、ユニットセルのa軸が電子輸送の方向であると仮定されていることに留意して下さい。 計算モデルの幾何構造を作成する際には、この仕様を守らなければなりません。 これに関連して、「ステップ 1:リード線部の計算」の節も参照して下さい。


Figure 39: NEGF法により取り扱う系の構成。 a軸方向の左右に半無限電極が配置され、またbc面上に二次元周期境界条件を仮定。 (b) bc面内での周期性を考慮することにより、(a)に示す構成から一次元化された系。 $C$領域は、$C_{0}$$L_{0}$および$R_{0}$からなる拡張された中心領域を表す。
\includegraphics[width=15.0cm]{NEGF_system.eps}


計算の流れ

NEGF計算は次の三段階で実行します。

ステップ 1 $\to $ ステップ 2 $\to $ ステップ 3

各ステップを以下に説明します。

例:炭素鎖

最初の試みとして炭素鎖を例にとり、上述の三つのステップについて説明します。


ステップ 1

      %./openmx Lead-Chain.dat | tee lead-chain.std 
    
ステップ 1の計算により、ファイル「negf-chain.hks」が生成されます。

ステップ 2

      %./openmx NEGF-Chain.dat | tee negf-chain.std 
    
ステップ 2の計算により、ファイル「negf-chain.tranb」が生成されます。

ステップ 3

openmxはステップ2の計算が完了すると自動的にステップ3の計算に移ります。. ステップ2とステップ3の計算を分離して行いたい場合には、以下のようにopenmxを実行して下さい。

    %./openmx NEGF-Chain.dat | tee negf-chain.std 
 

ステップ3では、openmxは「negf-chain.tranb」を読み込み、透過率、電流、固有チャネルの計算を行います。 計算終了後に以下のファイルがステップ3で生成されます。

  negf-chain.conductance            negf-chain.tranec0_0_0_2_r.cube
  negf-chain.current                negf-chain.tranec0_0_0_3_i.cube
  negf-chain.tran0_0                negf-chain.tranec0_0_0_3_r.cube
  negf-chain.tranec0_0_0_0_i.cube   negf-chain.tranec0_0_0_4_i.cube
  negf-chain.tranec0_0_0_0_r.cube   negf-chain.tranec0_0_0_4_r.cube
  negf-chain.tranec0_0_0_1_i.cube   negf-chain.traneval0_0_0
  negf-chain.tranec0_0_0_1_r.cube   negf-chain.tranevec0_0_0
  negf-chain.tranec0_0_0_2_i.cube

ディレクトリ「work/negf_example」中の入力ファイルを用いると、この計算を再現することができます。 ステップ 3の計算で得られた「negf-chain.tran0_0」の六列目を四列目の関数としてプロットすると、 図 40 に示す透過率曲線が得られます。


Figure 40: 炭素鎖の透過率のエネルギー依存性。エネルギーの原点は左電極の化学ポテンシャルに設定。
\includegraphics[width=10.0cm]{NEGF-C-Tran.eps}