Wannier90とのインターフェース

Wannier90 [99] は最局在ワニエ関数を生成し、ワニエ関数に射影したDOSやバンド構造、フェルミ面、 ベリー位相に関連する物性(異常ホール伝導度や光伝導率)などの物性が計算可能なソフトウェアです。 OpenMXにはWannier90とのインターフェースが用意されており、以下の2つのキーワードを設定することで利用可能です。

  Wannier.Func.Calc        on    # on|off, default=off 
  Wannier90.fileout        on    # on|off, default=off

このように設定した入力ファイルを用いると、計算終了時に以下のメッセージが表示されます。

  The input files for Wannier90,

  System.Name.amn
  System.Name.mmn
  System.Name.eig
  System.Name.win

  are successfully generated.
計算終了後に、上記4つのファイルが生成されます。 3つのファイルはwannier90の実行形式ファイル「wannier90.x」にて読み込まれるものであり、 最後の「System.Name.win」は「wannier90.x」の計算を制御する入力ファイルです。 図40に計算の模式図を示しました。 重なり行列「System.Name.mmn」、射影行列「System.Name.amn」と固有値「System.Name.eig」を用いて、 「wannier90.x」では最局在ワニエ関数を計算します。 最局在ワニエ関数が得られると、さまざまな物理量の計算が可能となります。 「System.Name.win」には、デフォルトで光伝導度を計算する以下の様な設定がなされています。
  berry_task   kubo
キーワード「berry_task」を適切に変えることで、その他の物理量の計算が可能です。 いくつかのオプション例を以下に示します。
  berry_task   kubo     #  optical conductivity 
  berry_task   ahc      #  anomalous Hall conductivity
Wannier90の更なる詳しい解説は、Wannier90 [99] のウェブサイトをご参照下さい。

41及び図42には、例として、 ダイヤモンド構造をもつシリコンのゼーベック係数と、SrVO$_3$の光伝導度を示しました。 入力ファイル「Si-Wannier90.dat」及び「SrVO3-Wannier90.dat」は「work」ディレクトリに収められています。

図 40: OpenMXとWannier90を用いた模式的な計算フロー
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=OpenMX_Wannier90.eps,width=16.0cm}
\end{center}
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図 41: OpenMXとWannier90を用いて得られた8個のワニエ軌道によるダイヤモンド構造のシリコンの(a) バンド構造と (b) T=300Kにおけるゼーベック係数(入力ファイル:「work」ディレクトリ内の「Si-Wannier90.dat」)。
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=OpenMX_Wannier90-Seebeck.eps,width=16.0cm}
\end{center}
\end{figure}


図 42: OpenMXとWannier90により得られたSrVO$_3$の(a)バンド構造及び(b)光伝導度。 得られた光伝導度は過去の実験データ[100]と良く一致している。 用いた入力ファイルは「work」ディレクトリ内の「SrVO3-Wannier90.dat」である。
\begin{figure}\begin{center}
\epsfig{file=OpenMX_Wannier90-SrVO3.eps,width=16.0cm}
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2017-03-07