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ノンコリニアDFT法に対するNEGF法

OpenMX Ver. 3.7は、ノンコリニアDFT法と組み合わせたNEGF法に対応しています。 ノンコリニアDFT法の全ての機能とNEGF法は整合性を持った実装となっています。 スピン-軌道相互作用、DFT+U法、そしてスピン磁気モーメントおよび軌道磁気モーメントの方位に対する制約法の全ての機能が NEGF法の実装と適合しています。 したがって、らせん状磁気構造を持つ磁区を介した電子輸送など、広範な問題を取り扱うことが可能であると期待されます。 NEGF計算の実行の方法は、基本的にコリニアDFT法の場合と同一です。 コリニア計算とノンコリニア計算の唯一の違いは、ステップ 3の計算がプログラム・コード「TranMain_NC」により実行されることです。 ディレクトリ「source」中で、以下のようにコンパイルすることで実行ファイル「TranMain_NC」が生成されます。

   % make TranMain_NC
 
コリニア計算と比較し、ステップ 3の使用方法には大きな違いはありません。 ノンコリニアDFT法と組み合わせたNEGF計算の一例として、ジグザグ型グラフェン・ナノリボンの透過率の計算結果を図34に示します。 ジグザグ端におけるスピン磁気モーメントは、左側および右側の電極部分のそれぞれにおいて、上方向および右方向に整列しています。 電極部分の計算は、ステップ 1においてスピン磁気モーメントの制約法を用いてノンコリニアバンド構造計算により行いました。 次にステップ 2の計算では制約条件を課しませんでした。 ステップ 2のSCF計算の結果、図34(a)に示すように中心部分のスピン方向は徐々に回転していくことが分かります。 この計算は、「work/negf_example」ディレクトリに保存されている入力ファイル「Lead-L-8ZGNR-NC.dat」、 「Lead-R-8ZGNER-NC.dat」、「NGEF-8ZGNR-NC.dat」により再現できます。 また同じディレクトリに金の一次元鎖のノンコリニアNEGF計算の入力ファイルも保存されていますので、 参考にして下さい。


Figure 34: (a) 矢印で表したノンコリニアスピン方位を持つジグザグ型グラフェン・ナノリボン。 矢印の長さは、スピン磁気モーメントの大きさに対応。 ステップ 1の計算において、スピン磁気モーメントの方位に対する制約法を適用。 左側電極および右側電極において、ジグザグ端のスピン磁気モーメントがそれぞれ上方向および右方向となるように制約法を適用。 (b) 図34(a)に示すチャネル領域Cを通過する電子の透過率。
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\epsfig{file=NEGF-ZGNR-NC.eps,width=15.0cm}
\end{center}
\end{figure}



t-ozaki 2013-12-23